本日行われた将棋の第86期棋聖戦五番勝負の第4局で、羽生善治棋聖が挑戦者の豊島将之七段に勝ち、タイトルを防衛。棋聖戦はこれで8連覇、通算14期目の獲得。



七大タイトルの通算獲得数は92期となり、100期の大台まであと8期。
また通算勝利数は1319勝となり、歴代2位の加藤一二三九段まであと1勝と迫った。

今シリーズは、というより最近のタイトル戦の傾向だが、とにかく相矢倉戦で後手ばかりが勝つ。棋聖戦においても第3局まで後手番が全勝。羽生棋聖の2勝1敗という状況で今局を迎えた。羽生棋聖の先手で、勝ちにくいという事で避ける意味もあったのか、はたまたただの気分転換だったのか、相矢倉ではなく、初手2六歩から豊島七段も誘いに乗って相掛かりの戦形となった。豊島七段の工夫に対し、羽生棋聖も突っ張った手で対抗し難解な中盤戦。そこで羽生棋聖が驚きの手順を見せる。69手目に6三歩と打った歩を、直後の71手目に6二歩成と成捨てたのだ。豊島七段がこの歩を取れば歩を打つ前の局面に戻り、羽生棋聖は豊島七段に歩を1枚プレゼントした勘定になる。成捨ては歩を打った手がまずかったと明確に認める手であり悔しくて指せるものではないが、こういう所で気持ちを切り替えて指せるからこそ今日の羽生棋聖の位置があるのだろう。一方の豊島七段の方はこの手順に感覚を狂わされたか、少し欲張った指し方をし、結果的に形勢が徐々に羽生棋聖へと傾いていった。

豊島七段の初タイトルに期待しながら見ていた今シリーズだったが、またも厚い壁に阻まれた。昨年の王座戦はきわどかったのであるいはと思ったのだが。ただ豊島七段は今年も王座戦の挑戦者決定戦に進出しており、また秋に羽生王座との番勝負が見られるかもしれない。

一昨日~昨日行われた将棋の第73期将棋名人戦七番勝負第5局で、羽生善治名人が行方尚史八段に勝ち、通算4勝1敗で名人位を防衛。在位はこれで9期となり、歴代単独3位となった。



今局は相矢倉の戦形だったが、後手の羽生名人が入玉を果たし、最終的には玉が1九の地点まで入り込むというあまり見ない将棋に。このまま持将棋の点数勝負になりそうなところだったが、羽生名人は行方玉を見事に寄せきって勝利。170手の激闘を制した。

今シリーズは第1局を除いていずれも熱戦で、今局が終わって羽生名人から見て2勝3敗くらいでも全然おかしくなかったと思うが、終盤の羽生名人の勝負術がとにかく見事だった。一方の行方八段だが、第4局の心が砕け散ったかのような投了シーンが印象に残っている。死力を尽くした戦いだったからこそのものだろう。

羽生名人はこれでタイトル獲得通算91期。夢の100期までわずか9期。着実にカウントダウンは進んでいる。来月からは豊島将之六段を挑戦者に迎えての棋聖戦が開幕。ただ羽生ファンの私も早く豊島六段にはタイトルを取ってほしいという思いがあるので、今回は豊島六段を応援しつつ観戦しようと思う。



明日は日帰りで岐阜へ。姫神のプラネタリウムでのコンサートを聴きに。どんな映像空間での演奏になるのか、曲目も含めてとても楽しみだ。

プロ棋士とコンピュータソフトが5対5の団体戦で争う、将棋の電王戦の第5局が本日行われ、阿久津主税八段が将棋ソフトAWAKEにわずか21手で勝利し、通算3勝2敗でプロ棋士側が勝ち越し。



ソフト側が打った角をタダ取りされる変化に突入してしまい、開発者が投了の判断を下したようだが、団体戦であり、勝ち越しがかかった一戦であり、しかもイベントでもあるという事も考えると、対局開始49分でのこの判断はどうだったのか疑問だ。

結果、ニコ生では大量に余った放送時間を何とかするべく、午後からエキシビションマッチとして、AWAKEがミスをする前の局面から阿久津八段と第2局の対局者だった永瀬拓矢六段が指し継ぐ対局を実施。こちらも阿久津八段が勝利したが、不利になってからの永瀬六段の追い上げが見事で白熱した良い将棋だった。

このスタイルで行われる電王戦は今回が最後で、過去2回はいずれもプロ側が負け越し、しかも大敗を喫しており、今回勝ち越したことは素直に嬉しい。第1局での負けが決まってからの無駄な王手ラッシュや、第2局で角の不成をソフトが認識できずに王手放置の反則負けを喫したことなど、人対コンピュータならではの問題提起や見応えもあったシリーズだった。

さて、コンピュータがものすごく強いのは十二分によく分ったことだし、勝ち逃げというわけではないが、もうプロ棋士対コンピュータの企画はやらなくていいかなと思う(笑)。ミスあり勝負手ありの、人対人の将棋をもっと楽しみたい。