2011/04/10
姫神@平安神宮~紅しだれコンサート2011
今回は今月7日に行ってきた京都・平安神宮での、シンセサイザー音楽家“姫神(ひめかみ)”のコンサートの模様を紹介する。(写真はOLYMPUS E-620 + ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm f3.5-5.6で撮影、トリミングなし。ただし写真の右下に“※”のあるものはトリミングあり。また、“#”のあるものはNIKON COOLPIX S4で撮影、トリミングなし。)
このコンサートはライトアップされた紅しだれ桜と共に音楽を楽しむイベント「紅しだれコンサート2011」の一環で、4日間の開催期間の内、姫神は初日の公演。ちなみに今回は姫神ヴォイス等ゲストの参加は無く、星吉紀さん単独でのシンセサイザーの演奏ということだった。
▼平安神宮に到着



18時15分開場ということだったが早めに17時半前に行ってみると、平安神宮の門の前には行列ができていた。おそらく当日券を買う人の列だろうと思ったのだが、スタッフさんに尋ねてみるとなんと既にチケットを購入済みで入場を待っている人の列だった。驚きつつ最後尾へ。開場を待つ間にも行列は見る見る伸び、最終的には門前を埋め尽くすほどになった。
▼入場を待つ人の列

予定より5分ほど早く開場。しかしコンサート会場に直接は行けず、境内やライトアップされた枝垂桜の咲く庭園を設定されたコースに沿ってしばらく歩き、ようやく会場へ。コンサートは40分間の公演が2回行われることになっており、1回目はステージに向かって右側から見ようと思っていた。しかし昼過ぎに下見に来た時目をつけていたベストポジションは既に人だかりができており、已む無く枝垂桜の枝の間からステージが見える場所を確保。18時40分、司会の女性が開演を告げ、1回目のコンサートが始まった。
▼コンサートの始まり

が、流れてきた曲は姫神ではない。チェロの演奏だった。なんだなんだと思っていると曲が終わり、演奏者が挨拶。今回急遽参加した溝口肇さんで、演奏されたのはこの方が作った“紅しだれコンサート”のテーマ曲とのこと。そして溝口さんに紹介されて姫神・星吉紀さんが登場。最初の話題はやはり震災で「星さんは岩手県の花巻市在住ですが、被害はどうでしたか?」「内陸部なので大きな被害は無かったのですが・・・」というような会話。その後、溝口さんが「星さんと1曲コラボします」、星さんが「姫神の曲なんですが“空の遠くの白い火”です」と述べて、いよいよ姫神のコンサートがスタート。
▼姫神・星吉紀さんと溝口さん

1.空の遠くの白い火
アルバム「姫神」(1982年)より。この曲にチェロがこんなに合うとは思わなかった。またいつかこういうチェロとのコラボが実現して欲しい。曲名はおそらく宮沢賢治の童話『水仙月の四日』の一節
お日さまはなんだか空の遠くの方へお移りになつて、そこのお旅屋で、あのまばゆい白い火を、あたらしくお焚きなされてゐるやうでした。
からで、どこかその世界を髣髴とされる曲だが、そういえば宮沢賢治もチェロを演奏したという。
溝口さんが退場し、ここからは姫神単独での演奏。
2.悠久ノ華
アルバム「天∴日高見乃國」(2008年)より。元々は岩手県平泉・毛越寺の行事“花供養”での奉納演奏のために作られた楽曲だが、ライトアップされた紅しだれ桜にもよく合っていた。
3.月のほのほ
アルバム「姫神」(1982年)より。“ツキノホノオ”と読む。ライブで聴くのは初めて。CDで聴いた限りでは単調であまり好きな曲ではなかったのだが、華やかな雰囲気のアレンジがなされていて印象が一変した。夜の、特に寺社仏閣での野外ライブにはピッタリの曲だ。
▼演奏風景



ここでMC。被災地への支援のお礼など。やはり震災の話題が中心になる。「(被災した)私たちが思ったのは、西日本の皆さんが無事で良かったということです」という言葉が印象に強く残った。それにしてもなんというタイミングでの姫神コンサートだろうか。出演が決定したのはもちろん震災の前。今回の“紅しだれコンサート”は収益が被災地への義援金となるそうで、語弊はあるかもしれないが結果的に岩手県在住の姫神は奇しくもこのチャリティーコンサートに最適の演者になってしまった。本来は星さんも「今年で姫神はデビュー30周年となります」とかそういう明るい話題を用意していたことだろう。
「平安神宮と紅しだれ桜をイメージして選んできた曲です」ということで再び演奏。
4.風の祈り
アルバム「炎-HOMURA-」(1993年)より。姫神を代表する曲の1つであり、コンサートの定番曲。奥州藤原氏を題材にしたNHK大河ドラマ「炎立つ」内のコーナー「炎紀行」のテーマ曲に用いられた。
5.十三の春
アルバム「東日流(つがる)」(1994年)より。“トサノハル”と読み、“十三”は青森県の十三湊のこと。なんといってもこの曲は2代目姫神・星吉紀さんの初作曲作品。ライブで聴くのは3回目だが、聴くたびにアレンジが進化しているようで、今回聴いたのが今までで1番良かった。アルバム収録のものと比べてかなり変わっており、力強くカッコイイ感じになっている。
ここで再びMC。もう一度震災の話題に触れた後、岩手県平泉の話題。星さんもおっしゃっていたが、そういえば今年は前回延期となってしまった世界遺産登録なるかどうかの年だった。なんとか登録されて被災地から明るい話題を届けて欲しい。
そして1回目のラストの1曲を演奏。
6.浄土悠遠
未CD化曲。平泉の文化遺産のイメージ音楽として2008年に製作された。平泉への想いの他に、震災犠牲者への鎮魂の想いも込めて演奏されたのではないかと思う。壮大で重厚な雰囲気の楽曲。一部、姫神ヴォイスの録音素材が使われていたようだった。ライブで聴くのは2回目だが未だ姫神ヴォイス参加のコンサートでは聴けていない。
▼1回目の演奏が終了

曲の終わりと共に女性司会者が登場。舞台の前に出て一礼して立ち去る星さんに“姫神”の名の由来を尋ねていた。それは良いとして、その後の「姫神というと私たちには姫路と神戸の間を結ぶ“神姫鉄道”ですか?それが思い浮かびますけれども」というのはちょっと頂けない。「それを言うなら“神姫バス”だろ!」というツッコミはともかく、なぜここでそんな話題を・・・と思ってしまった。せっかくの余韻が・・・。
公演は2回行われるが、客の入れ替えは行われず2回とも聴くことができる。ということで2回目の始まりまで庭園内を散策がてら、出口付近で販売されているというCDを見に行ってみる。人だかりの後ろから長机の上を覗くと、なんと「スターリーテイルズ」のサウンドトラックが先行発売されていた。もしかしたらとは思っていたがこれは嬉しい。さっそく1枚取って買おうとしたのだが、人が多すぎてなかなか買えない。そうこうする内にスタッフさんが「サインはこの方までです」と言い始めた。「えっサイン?」と思ってふと右側を見ると、なんとすぐそこに星さんがいて、CDを購入された方にサインをしていた。2回目の開演時間が迫っていたのでサイン会終了ということだったが、せっかくだからサインして欲しい。2回目の演奏後にもサイン会があるのではないかと思ってスタッフさんに尋ねると「あります」ということだったので、手に持っていたCDを戻して再び園内へ。今度は舞台に向かって左側、池の上にかかる屋根付きの橋“泰平閣(橋殿)”の上で聴くことにした。ちなみに2回目の演奏が始まるまでの間、会場には“紅しだれコンサートのテーマ曲”の他に、姫神の“神々の詩”のCD音源が流されていた。
19時50分、2回目の演奏開始。
▼演奏風景






1.空の遠くの白い火
2.悠久ノ華
3.月のほのほ
今回は桜の枝に邪魔をされず、ライトアップされた風景を存分に眺められる場所で聴くことができた。3曲目までの曲目は1回目と同じ。ただし溝口さんの参加は無く、3曲続けて演奏された。
おそらく曲目は1回目とすべて同じだろうと思っていたのだが、3曲演奏し終えた後のMCで平泉の話題になった。これは“浄土悠遠”の前フリとしか思えない。おやおやと思っていると「では“風日ノ御路”と“浄土悠遠”2曲続けて演奏します」・・・おお、1回目と違う曲目だ!
4.風日ノ御路
アルバム「天∴日高見乃國」(2008年)より。“カザヒノミチ”と読む。伊勢神宮・内宮の“風日祈宮(かざひのみのみや)”への参道をモチーフにした曲・・・というのをどこかで読んだ。近年のコンサートの定番曲でラストに演奏されることが多いのだが、今回は中盤に演奏された。暖かな陽射しのような優しい雰囲気の曲。
5.浄土悠遠
こちらは1回目でも演奏された。しかしこのタイミングということは、ラストには何を演奏するのだろう。ということでMCに耳を傾ける。「被災地に西日本から元気を送って欲しい」といったお話の後、「それでは最後に・・・」
6.あの空の下に
アルバム「千年回廊」(2000年)より。ライブで聴くのは初めて。アレンジはアルバム収録のものとほぼ同じだったが、ライブで聴くのは格別だ。ラストの曲にふさわしい、どこか懐かしい感じがするメロディーが庭園内に響き渡った。
曲が終わって会場から拍手が起こり、司会の女性が出てきて終演を告げようとしたが、星さんが「せっかくなのでもう1曲」。会場から再び拍手が沸き起こる。
7.山の神
アルバム「マヨヒガ」(1995年)より。アンコールはこの曲だった。アルバム収録とはアレンジが若干異なり、序盤にはリズムパートが無い。その分、重厚さというか、山の神への“畏怖”のようなものがより強く感じられる。
▼コンサート終了

これで本当にコンサートが終了。司会の女性の挨拶を聞いた後、CD販売コーナーへ向かったが、その近くに義援金箱が設置してあった。透明な30センチ角ぐらいの箱だったのだが、中身はすでに3分の1ほど千円札が詰まっていた。今回の震災の募金では小銭が少なくお札が多いと言うけれど本当なんだなと実感。既にネット上のポイントでの募金はしていたものの、なんだか募金した実感が無いなあと思っていたところだったので、私も野口英世先生に東北へ行ってもらうことにした。
そしてCD販売コーナーで「スターリーテイルズ」のサウンドトラックを購入。星さんにサインをして頂きつつ、「今日はどちらから?」「兵庫県からです」「遠いところからありがとうございます」といった会話の後、「応援しています」と伝えて握手。サインと握手は2005年の福岡市でのコンサート以来だったが、相変わらず暖かい手をしていらっしゃった。
▼スターリーテイルズのサントラ(サイン入り)

以上で今回のコンサートのレポートは終わり。姫神のコンサートは奉納演奏も含めて4回目だったが、夜の野外公演は初めて。ライトアップされた紅しだれ桜(3~5分咲きだったが)と姫神の音楽とのコラボレーションは本当にすばらしかった。
ただ、1つあえて苦言を呈すると、今回のこの催しは純然たるコンサートではなく、お花見の要素がかなり強いということだ。そのために周囲では絶えずオバチャンの話し声がし(苦笑)、歩き回る人の気配と足音があり、カメラやケータイのシャッター音が鳴っていたため、曲に集中しきれなかった。かく言う私もシャッター音のする一眼レフで写真を撮っていたので他人のことを言えたものではないが(事前にピント合わせの際のビープ音は消していたが)、純粋にコンサートを楽しみたい人には“紅しだれコンサート”はあまりオススメはできないと思う。あくまでも桜と音楽両方楽しみたい人向けの催しだ。
なお、庭園内でライトアップされた桜の写真や、この日の日中の京都散策の模様は、また別の記事で紹介する。
不死鳥東北!がんばろう日本!
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