そろそろブログの放置もいい加減にしたい(汗)。長い文章を書くということがめっきり減ってしまって、文章力の衰えを感じる今日この頃だ。
ということで、読んだ本の感想でも、リハビリがてらボチボチ投稿していこうと思う。

今回紹介するのは「サガレン」という変わったタイトルの1冊。
最近、樺太(日本領時代の南サハリン)の駅スタンプの収集に凝っていて、そのつながりでサハリンについて興味を持ち、この本に行き着いた。
なお、「サガレン」とはサハリン(樺太)のことで、満州語、またはアイヌ語が語源とされ、宮沢賢治が自身の作品中で用いている言葉である。



宣伝文句に「紀行ルポ」とあったので、サハリンの旅行記と思って読み始めた本作。しかし、結論を言ってしまえば旅行記とはいえない。たしかに著者はサハリンへ2回(取材外でさらに1回)赴いているが、作中に書かれたその内容は極めて薄い。まとめれば短編1つにも満たないような分量である。

また自身が「用意周到な」「鉄道ファン」であると書いているが、本作を読む限りそうとは思えず(例を挙げれば、せっかくサハリンの地で夜行列車に乗っているのに、車窓は真っ暗で何も見えないからと読書にいそしみ、通過駅も自分がどの辺を走っているのかもよく分かっていない。スマホ持参でネットが使えるのになぜ地図アプリを使わない?規制があるのなら仕方ないが、取材はどうした?)、作者との認識のズレから読者が置いてきぼりを食っているような気分がして、旅の模様に関しては共感できなかった。

期待と違うものでガッカリしながら、それでも最後まで読み進めたこの本の内容。それはかつて、樺太を訪れた林芙美子や宮沢賢治、チェーホフといった人々がどんな旅をし、何を思い、感じたのかということの紹介と考察であった。しかし、残念なことにこの点においても内容が薄いと言わざるをえない。何が問題かと言えば、先に挙げた樺太を旅した作家達の作品の引用が非常に多いのだ。それこそ、夏休みの宿題の読書感想文で、原稿用紙の枚数のかさ増しのために大量の引用をしたあの遠い日が思い出されるくらい、引用、引用、また引用である。宮沢賢治に関しては考察まで他者のものが引用されており、「私もそう思う」というような結論で締められる始末。そもそも、この内容であればサハリンに行く必要は無かったんじゃ、という疑問さえ湧いてくる。

ともあれ、全く読む価値が無いかと言えば、そうでもない。先にも書いたように引用が多いのだが、そのおかげで林芙美子や宮沢賢治、チェーホフの名作のつまみ食いができるのだ。少なくとも本作に出会わなければ宮沢賢治はともかく、林芙美子やチェーホフの作品を読むことは一文字も無かっただろう。そういう意味では読んで良かった。

ただ、これから読もうとする人には、まず、図書館等で借りての試し読みをオススメする。



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