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3か月ぶりになってしまったが(汗)、3月に入手した朗読カセット『宮沢賢治童話集』について。今回はその内「ポラーノの広場」と「風の又三郎」の朗読と姫神による音楽について。

「ポラーノの広場」(5巻A面29:19、B面21:47、6巻A面36:13、B面22:24、7巻A面36:10、B面29:20)
ポラーノの広場~宮沢賢治童話集

5巻A面~7巻B面に収録。朗読は「セロ弾きのゴーシュ」に続き森本レオさん。原作は未読だったが、思いのほか本格的な小説という趣で、物語としてはこの朗読集で一番面白かったように思う。宮沢賢治特有の比喩表現も美しい。主人公自身が出来事を書き記したという体で、地の文もモノローグみたいなものだが、森本レオさんのキャラが主人公によく合っており、約3時間に及ぶ長編も途中で退屈になることなくとても楽しめた。余談ながら主人公の職業が羨ましい(笑)。

音楽はアルバム『イーハトーヴォ日高見』収録「つめ草の明かり」「あのイーハトーヴォのすきとほった風」(ひと続きの2部構成の1曲として収録)。アルバムとほぼ同じアレンジと、前者は木琴系の音色がバックで流れる別アレンジ、後者はパンフルート系の音色で奏でられる別アレンジや、未収録のメロディーが含まれる口笛調の音色が用いられた変奏曲も。他にアルバム『姫神風土記』の「空と雲と友と」をシンフォニックにしたような穏やかな雰囲気の未収録曲が用いられており、この曲は短調の変奏曲も警察署での聴取の場面で流れる。さらに、チェロのような音色でアンビエント調の不穏な雰囲気の未収録曲が、毒蛾の舞う夜の町の場面で流れる。

「風の又三郎」(8巻A面44:38、B面37:06、9巻A面33:58、B面26:49)
風の又三郎~宮沢賢治童話集

8巻A面~9巻B面に収録。朗読は歌舞伎役者の五代目・坂東八十助(十代目・坂東三津五郎)さん。歌舞伎役者さんの朗読とは面白い趣向だ。地の文はハキハキとして聞き取りやすく、なまりの強いセリフも感情がこもってとても巧み。また標準語を話す学校の先生のキャラに特によく合った声音だ。かつて原作を読んだ時には退屈なストーリーだと思ったものだが、特にこの記事を書くにあたって聴き直した時なかなかに面白く感じて、あれっとなった。とても楽しめる朗読。

音楽はアルバム『イーハトーヴォ日高見』収録「風のマント」「青いくるみ」。前者は少しキーが高いものやテンポが速いもの、またバックトラックが無いゆったりしたバージョンや、金属的な響きの音色に風のSEが入っている幻想的なアレンジも用いられ、アルバムにはない明るいメロディーに繋がるものもあってバリエーションが豊富。後者はアルバム同様のアレンジのほか、シンフォニックで柔らかな雰囲気のアレンジを聴くことができる。他に未収録曲が4曲。1つ目はパンフルート系の音色のハモりやシンフォニックな音色で奏でられる未収録曲があって、雰囲気はアルバム『姫神風土記』の「空と雲と友と」に通じるノスタルジックな感じ。2つ目は単調なシークエンスのバックトラックに白玉系の雄大なメロディーがのって、広々とした空を感じるような曲。3つ目はアンビエント調のゆったりした曲で、バックトラックに時々入る弦をはじくような音が印象的。4つ目もアンビエント調で雷雨(今でいうゲリラ豪雨)の場面で流れる、金属的な音色の不穏な雰囲気の曲。

「グスコーブドリの伝記」へ続く。

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