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先日入手した朗読カセット『宮沢賢治童話集』。今回はその内「貝の火」と「北守将軍と三人兄弟の医者」の朗読と姫神による音楽について。

「貝の火」(2巻A面31:52、B面29:04)
貝の火~宮沢賢治童話集

2巻A面~B面に収録。朗読は「雪渡り」と同じ根岸季衣さんだが、こちらの方が作品によく合っていたように思う。特にずるがしこい狐の声はバッチリで、子供が喜びそう。
それにしても、一度読んだことがある作品だが、こんなにホラーな話だったかとびっくり。「悪い行いをすると光がかげるという石、貝の火→ホモイ(子ウサギ)が驕りから悪行→なぜか貝の火がますます美しく輝く」の繰り返しにより、ウサギ一家の道徳観がひっそりとぶれていくのが恐ろしい。盗んできたパンなんぞ食わないと言っていた父親ウサギが普通にパンを食べるようになる。もっとも最後には貝の火は一気に濁って砕け、そして飛び去り、ホモイは失明してツケを払わされるのだが(フクロウのセリフ「たった6日だったな」も怖い)。余談ながら、解説書の「ホモイの失明は罰として重すぎる」というような見解には違和感。

音楽はアルバム『イーハトーヴォ日高見』収録「つり鐘草は朝の鐘を高く鳴らし」がメイン。アルバムと比較して少しアップテンポだったり、音数が多く豪華だったりする。その他、アルバム未収録のアンビエントで貝の火の輝きを現したらしい、キラキラした、ミステリアスな雰囲気の曲(というよりSEに近い)が、貝の火が登場するたびに流れる。

「北守将軍と三人兄弟の医者」(3巻A面32:33、B面16:19)
北守将軍と三人兄弟の医者~宮沢賢治童話集

3巻A面~B面に収録。朗読は「なめとこ山の熊」と同じ常田富士男さん。この作品の朗読も良い。特に将軍が号令をかける場面などはハマっている。ただ、なにぶん「なめとこ山の熊」が素晴らしすぎた。
未読の作品。人を診る医者、家畜を診る医者、植物を診る医者の三人兄弟の医者元へ、長い砂漠駐留であちこちにガタが来た将軍が順に訪れて治療されるという物語。将軍の尊大さや医者の泰然とした雰囲気、そして治療方法がユーモラスさを醸しているが、最後の物語のまとめ方に意外性があって、単純な童話になっていない。

音楽は『イーハトーヴォ日高見』収録「三十年という黄色な昔」がメイン。正直、あまり好みの曲ではなかったのだが、物語の内容を知って、また朗読に使われているのを聴くと実にマッチしていて良い。2章冒頭から流れる、鼓笛隊を思わせる高い笛の音が即興的な主旋律を奏でる曲はアルバム未収録だが、バックで「三十年~」と同じユーモラスな低いホルン(?)の音色が流れ、そして切れ目なく「三十年~」に繋がることから、アルバム収録に際してカットされたプロローグ的なパートのようだ。その他、同じくホルンの音色に乗って流れるファンファーレのような曲もあるが、これもカットされたパートだろうか。また、3章や4章でもパンフルート風の音色などで奏でられるユーモラスというか無邪気な雰囲気の曲が流れるが、こちらは独立した未収録曲のようだ。

「セロ弾きのゴーシュ」へ続く。

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