先日入手した朗読カセット『宮沢賢治童話集』。今回はその内「雪渡り」と「なめとこ山の熊」の2話の朗読と姫神による音楽について。

「雪渡り」(32:08 ※カセットのラベル記載の収録時間。実際には10~30秒ほど短い。以下同じ。)
雪渡り~宮沢賢治童話集
全14巻のカセットの内の1巻A面に収録されている。まだ読んだことがない童話だったが、宮沢賢治にしてはシンプルな、あまり深みが無いお話という印象。朗読は根岸季衣さん。好みの問題かもしれないが、子供や狐たちのセリフ部分でちょっと声を作り過ぎというかわざとらしい感じがする。特にはやし言葉(童歌)の部分は元気が良すぎて少し耳障りに感じたが、朗読の聴き手が子供達ならむしろ受けが良いのかもしれない。通常の文章部分は落ち着いた雰囲気で良い。

音楽の方は姫神のアルバム『イーハトーヴォ日高見』収録「堅雪かんこ しみ雪しんこ」(アルバム収録に際して少しアレンジが変えられている。朗読の最後に流れるものは主旋律が笛の音色でコブシがしっかり入っていて、姫神ファン的にはむしろこのアレンジで収録してほしかった(笑))の他、アルバム未収録曲が2曲。8:55頃などで流れる笛のようなシンセのハーモニーによる白玉系の寒々しい雰囲気のアンビエント(朗読の終わりではこの曲から「堅雪かんこ~」に切れ目なくつながるので、もしかするとアルバム収録に際して削られたパートかもしれない)と、17:38頃流れる、その部分の文章“お月様は空に高くのぼり、森は青白い煙に包まれています”をイメージしたと思しき曲(クリスタル系の音色のシンプルな曲)。いずれも曲単独で聴くと印象が薄く、アルバム未収録はしかたないかなという感想。

「なめとこ山の熊」(39:46)
なめとこ山の熊~宮沢賢治童話集
1巻B面に収録。『まんが日本昔ばなし』でおなじみの常田富士男さんによる朗読。これが控えめに言って素晴らしかった。主人公がお爺さんということもマッチしている要因の1つではあろうが、物語全体に漂う哀しみや不条理、諦観、そういったものに独特の枯れた声音が絶妙に合っていた。前作と同じくまだ読んだことがなかったが、胸が締め付けられるような、グッとくるものがあり、特にこの猟師のお爺さんと熊のやりとりなどは堪らない。童話というには重く、子供には少し難しいのではとも思えるが、1度聴いただけで魅了されてしまった。宮沢賢治作品ではワタクシ的№1に挙げたい。たぶん本棚のどこかに原作があるはずなので、探して読んでみよう。

音楽は『イーハトーヴォ日高見』収録「大空の滝」「くろもじの木の匂い」「雪は青白く明るく水は燐光をあげ」。アルバムではひと続きの1曲として収録されているが、朗読内では別々に、それぞれ曲名になっている言葉が登場するタイミングで流れる(「大空の滝」は「大空滝」というフレーズが出てから1分ほど後)。アレンジは少し異なるが、音色の構成はほぼ同じ。ただ、24:17頃などで流れる曲は「くろもじの木の匂い」の変奏曲で、アルバムより1オクターブ低い木琴のような音色で主旋律が奏でられている。また、31:50頃流れる曲は「大空の滝」のクラリネットの音色が奏でる部分に似ているもののメロディーが異なる。

「貝の火」へつづく

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