九十九怪談 第七夜/木原浩勝

先日文庫本が発売された、実録怪談集「九十九怪談 第七夜」を読了。

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今巻は「新耳袋」シリーズ~「九十九怪談」シリーズのここまでに至るどこかで読んだようなものが多く、また、ただの偶然にあえて意味づけしたようなものもあり(怪談や妖怪が成立する上ではよくあることかもしれないが。ただ、例えば第五十一話「誤作動」は、薄暗い環境下ではカメラのオートフォーカスが迷って動き続けるのはよくあることだし、フォーカス優先の設定にしていればピントが合わない状態でシャッターが切れないのは当たり前で、あえて怪談にする必要を感じない)、矛盾してるような話もあって(第三十四話「修学旅行」。上階からの絶叫を聞き旅館の部屋の窓から上を見て白い塊が昇っていくのを見届けた後、部屋を出て階段を上り真上の部屋に入って、窓の外を白い着物を着た女がスーッと昇ってくのを見る事は可能なのか?)正直パワーダウンという感じを否めなかったが、中には気になる話もいくつかあった。

例えば第五話「ハイキング」はオチが楽しい笑える怪談。第八話「笑顔」は特定の人物に携帯のカメラを向けた時だけ誰もいない周囲に8つの顔認証の枠が表示されるという話で、現代ならではの話だ。フィルムカメラと比べて携帯やデジタルカメラは怪談(あるいは心霊写真)から縁遠い印象だったのだが。第八十五・六話の「監獄博物館」は網走のものと思われるが、2月に行ったばかりだったのでタイムリーな話だった。

読むのが6月の私の恒例行事となっている「九十九怪談」シリーズ。次の第八夜には期待したい。



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