今月5日発売の文庫版「陰陽師 酔月ノ巻」を読了。(以下ネタバレあり)

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全9話収録されているが、今巻は各話のクオリティの差が激しいのが気になった。

まず最初の2編、「銅酒を飲む女」「桜闇、女の首。」だが、出来がイマイチ。前者の融けた銅を飲むというのは過去作の使いまわしの感があるし、話そのものも陳腐。後者はなぜ姫が姿を消したのか(連れ去る必要があったのか)という説明が無いまま終わってしまうし(後にその口を借りてしゃべるためだとすればずいぶん回りくどい)、桜の樹が「桃実」と名付けられた理由の無理やり感も酷い。

続いて「首大臣」「道満、酒を馳走されて死人と添い寝する語」、この2編は面白かった。前者には藤原道長が初登場。私が好きな「朱雀門の鬼」が出ているのも嬉しい。後者はなんと安倍晴明も源博雅も登場しない。蘆屋道満が珍しく(?)人助けをする物語だ。

5話目の「めなし」。面白いのだが、「奪われた目玉に映る景色が見える」「女郎蜘蛛」というモチーフが、CLAMPの漫画「xxxHOLiC」と同じなのが気になった。もしかすると蜘蛛と目玉に関する共通の元ネタが有るのかもしれないが・・・。

6話目「新山月記」は、まあタイトル通り。どうという事は無い。

7話目「牛怪」も意外性は無い。ただ今後の(つまり現在の)七夕が心配(笑)。「水瓶を覗きこむ→背中を押される→水瓶の中に入る」という流れがやはり「xxxHOLiC」と共通ではあるが、こちらは壺中天がらみで共通の元ネタがありそうではある。

8話目「望月の五位」は味わい深くて好み。ラストで晴明がちゃっかりしているのが良い(笑)。

最後の「夜叉婆あ」は、またもや安倍晴明も源博雅も登場せず、蘆屋道満が活躍。今作の趣向というか、こういう話を挟むことでマンネリ化を避けようという意図なのだろうか、なんにせよこういうのも悪くない。話の内容自体は過去作の焼きなおしの感はあるが。

総合的には買って良かった、読んで良かった1冊だった。露子姫や蝉丸が登場しないのは残念ではあったが。また、そろそろネタ切れというか息切れなのかなという気配もあって心配な中での道満の活躍。これは今後にも期待が持てる明るい兆しだ。次巻も楽しみに待ちたい。

ところで今巻ではほぼ全話で橘姓の人物がキーキャラクターになっているが、何か意味があるのだろうか?



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