先週日曜日の六甲山散策の記事、第2回。

六甲山上駅を徒歩で出発し、途中度々撮影のために立ち止りつつも25分ほどでヴォーリズ六甲山荘に着いた。途中までバスに乗る場合に比べ徒歩だと少しショートカットするルートとなるため、寄り道せずに歩けばもしかするとバスに乗るより早いかもしれない。

ヴォーリズ六甲山荘は、私が好きな建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズが1934年に建てた、小寺敬一氏の夏の避暑用別荘。ヴォーリズ建築はこれまで滋賀県の豊郷小学校旧校舎鳥居本宿の本陣跡に建つ民家、京都の駒井家住宅を見に行ったことがあるが、地元兵庫県のものは今回が初めて。

感じの良いガイドの方に迎え入れられ、500円の見学料を支払う。「建物のことを説明させていただきましょうか?」と問われたのでお願いする。昨年に京都の駒井家住宅を訪れた際に実感したのが、「ガイドさんの解説は聞くべき」という事で、最初から自由に見て回ったのであれば見逃したであろう見所や魅力を知ることができるし、何より面白い。

広くて気持ちのいい居間のソファーに座ってしばし解説を聞いた後、ガイドさんと共に中を見て回る。緊張感を醸さないようにあえて幅がまちまちになっている居間の壁や床の板(チョウナの跡が残る梁は松、壁板は檜、床板は楢だそう)、本当にあちこちにある収納の数々(湿気の多い六甲山にあって未だ引き出しはスムーズに動く)、建てられた当時のセンスの良い家具、水が跳ねる部分だけ貼られた洗面台のタイル。各所に凝らされたささやかな工夫はまるでTVのビフォーアフターを見ているようで、とても築80年とは思えない。平屋の別荘という事で、2階建ての駒井家住宅に比べれば質素な印象だが、山小屋の雰囲気を持つ素晴らしいヴォーリズ建築だ。ここが夏の避暑用だったなんて、羨ましすぎる。ガイドさんと一緒に一通り見て回った後、あちこち撮影した。

ヴォーリズ六甲山荘
▲庭ではアジサイが花盛り

ヴォーリズ六甲山荘ヴォーリズ六甲山荘
▲(左)使わない時はくるっと回して壁に沿わせられる雨戸の戸袋。(右)水はけが良いように傾斜が付けられた窓の桟。これに合わせて窓を作らねばならないので手間らしいが、このおかげもあって建物の保存状態は非常に良い

ヴォーリズ六甲山荘
▲広々とした居間。夏の避暑用という事で北と西の壁面がすべて窓になっている

ヴォーリズ六甲山荘
▲広い居間の常設の灯りは天井のこれ1つ。薄暗い方が和めるからだという。本を読むなど必要な際はスタンドを灯したらしい

ヴォーリズ六甲山荘
▲飾られていた食器類やトランプ

ヴォーリズ六甲山荘
▲子供部屋の椅子も80年前当時のもので、背もたれにはさりげなくウサギ

ヴォーリズ六甲山荘
▲女中さんの和室には壁にピタリと収納できるアイロン台。「今度家を建てる際はぜひ」とガイドさんに勧められた(笑)

ヴォーリズ六甲山荘
▲同じく和室の柱には、小寺氏の子供達の背丈を測った跡

ヴォーリズ六甲山荘
▲洗面・風呂場へのドアには見覚えのあるクリスタルのドアノブ

ヴォーリズ六甲山荘ヴォーリズ六甲山荘
▲(左)洗面と風呂場の間の壁に電灯が埋め込まれていて、この1つで両方を照らす仕組み。風呂は後に女子大の寮になった際も貴重だということで改装されなかった五右衛門風呂。(右)台所の入り口脇にあるたこ焼き器を思わせるものは各部屋のブザーのボタンとワイヤーで繋がっていて、部屋のボタンが押されると割り当てられた数字が表示される仕組み。食堂のボタンだけ機能が復元されていて、押させていただいた。表示された数字のリセットは垂れ下がっている紐を引っ張ることでできるのだが、結構強く引かないと戻らないので紐が切れたり壊れたりしないかヒヤヒヤした

ヴォーリズ六甲山荘
▲食堂。アジサイがいけられた白鳥の花瓶も80年前のもの

ここでひと夏過ごせたらどんなにか素晴らしいだろう。そんな思いを抱きながら、約1時間半の見学を終え名残惜しい気持ちで後にした。次の目的地は六甲高山植物園。でもその前に少し寄り道。

※この記事の写真は2014年7月20日、OLYMPUS E-620 + ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWDで撮影。

~つづく~

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