浅田次郎さんの小説「黒書院の六兵衛」(上下巻)を読了。

黒書院の六兵衛 (上) 黒書院の六兵衛 (下)amazon画像リンク作成ツール

浅田次郎さんの小説と言えば「一路」が面白かったので、期待して読み始めた。

舞台は大政奉還後、開城へ向けた準備が進む江戸城西の丸御殿。そこには無言の座り込みを続ける謎の御書院番士、的矢六兵衛の姿があった。にわか官軍将校を務めることになってしまった尾張藩士の加倉井隼人らは、どうにかして六兵衛に立ち退いてもらおうとするのだが、なぜかたくなに座し続けるのかの理由はもちろん、その正体すらも謎に包まれていることが判明。江戸を戦渦に巻き込むことを避けねばならず、帝が入る御殿を汚すわけにもいかないために強硬策が取れず、立ち退きは難航する。そうこうする内にも六兵衛は部屋を変えながらも座り込みを続け、さらには帝が江戸城に入る日が近づいてきて・・・。というお話。

周囲の人々への聞き込みで六兵衛像が語られるのだが、微妙に語られる内容が違い、一向に正体には近づかない。そんな中、読んでいてもしかしたらと予想した人物がその正体だと隼人達が結論付けて「やっぱり」と思ったのもつかの間、それは間違いだと分かり、まんまと浅田先生のミスリードに嵌ってしまった感があって「やられた」と思った。そこで登場する尾張の殿様の描写は「一路」での色んな殿様の描写につながるものがあって魅力的。物語中盤のこの辺りが一番面白かった。

ラストは私にとっては不完全燃焼というかモヤッと感が残ってしまったが、余韻が残って良いと思う人もいるだろう。総じては中々に良い小説だった。六兵衛のキャラクター設定はオリジナリティがあり、私が読んだ中では他に類がない時代小説だった。

   

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