京極夏彦さんの小説「書楼弔堂 破暁」を読了。

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全6話収録の短編集。とても良かった。

明治時代の東京。まるで灯台のような、櫓のような3階建ての古書店「弔堂(とむらいどう)」。蝋燭と天窓から差すわずかな外光のみの薄暗い空間に数多のありとあらゆる古書や錦絵が並ぶ。漫画「金魚屋古書店」の“ダンジョン”を少し思わせ、本好きとしてはぜひ行ってみたいと思わせる風情の店だ。

そんな店の主はいつも白い着流しを着ている男。小童と共に店を取り仕切っている。主曰く、店の中で死蔵されている本を、その本を必要としている人と巡り会わせることで弔っているのだとか。不思議な店名はそれに由来する。

主人公は元・旗本の家柄の男で、病を得たのをきっかけに妻子と別れ、治った後もなぜか独居している。ふとしたきっかけでこの古書店を知り、以来常連となって通う中で、来店する様々な人物の悩みに触れ、そしてその人が必要とする「ただ一冊の」本との出会いの場面に遭遇する中で、自分の生き方などあれこれ思いを巡らすのだった。

来店する人物の顔ぶれがまた凄い。具体的に書いてしまうとネタバレになってしまうが、偉人や文豪など錚々たる面々である。もちろんそれらのキャラクターは実在するわけだが、それをうまくフィクションに取り込んでいるのが、この本の見事な点だろう。明治の偉人・文豪の知られざる悩み、そして弔堂の主が推薦する本とは?

古書店が舞台ということでもしや「百鬼夜行シリーズ(京極堂シリーズ)」とリンクしているのでは?と期待していた。表紙の姑獲鳥の絵にさらに期待は膨らみ、読み進めて最終話「未完」に到達すると、京極堂(中禅寺秋彦)の祖父と思われる人物が登場。京極堂が神主を務める武蔵晴明社も登場するが、京極堂の祖父が住む家と神社の位置関係は、古書店京極堂とのそれと微妙に違うようである。

また「巷説百物語シリーズ」ともリンクしており、「後巷説百物語」のキャラが登場したり、京極堂の曾祖父が山岡百介(菅丘李山)から蔵書を贈られていたりする。

「破暁」と銘打たれていることから続編がありそうではあるが、ラストは続編が作りにくそうな感じ。続編があるとすれば主人公が変わるのだろうか?あることを期待して待ちたい。

    

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