ずっと前に買って、途中まで読んでほったらかしになっていた「十八面の骰子(さいころ)」を読了。

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中国・宋の時代、天子の名代として全国を行脚し、密かに調査して役人の悪行を暴く「巡按御史」と呼ばれる秘密捜査官の一行の物語。

まず言っておかなければならないのが、表紙の不気味なイラストと、裏表紙や帯、解説の「中国版水戸黄門」という文言が、この作品の価値に傷をつけているということ。担当者のセンスが酷かったのだろう。

「水戸黄門」は水戸藩のご隠居がいわば道楽の一環でやらなくても良い全国行脚をしているのに対し、本作で悪事を暴くのは職業としてそれをやっている人物。また、「この紋所が~」のように型に嵌った正体の現し方をするでもなく、「カクさんスケさん懲らしめてやりなさい」というような大立ち回りも無く、中国を舞台としていることを除いても「水戸黄門」とはかなり雰囲気の異なる物語だ。決して二番煎じ的な作品ではない。

キャラクターは人間味に溢れ、実に味わい深い雰囲気が醸されており、ページをめくる手が止まらない。そういった短編集。なぜ途中で読むのを止めていたのかよく分からない。続編も出ているようなので読んでみたい。

今作では主人公の趙希舜(二十台半ばにして小柄で童顔なため少年に見える)や、時に希舜に代わって巡按御史を演じる部下の傅伯淵(美声を持つ優男)といったキャラクターの過去には詳しく触れられていない。ポツポツと断片的に壮絶な過去が見え隠れするだけに気になる。続編ではそれが明らかになるのだろうか?

なお、森福都さんの作品では「琥珀枕(こはくちん)」もオススメだ。

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こちらも昔の中国が舞台としているが、ホラー・ファンタジー要素が入っている。少年とその勉学の師であるスッポンの化身(!)の翁は、高台から街行く人の動向を眺めつつあれこれ語り合うのが日課。2人の目線の先には様々な欲望や思惑から、道に外れたり罪に手を染めたりする人々の姿があった。

                 ▼続編▼
      

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