8月24~26に行った石川県旅行の模様、第5回。(前回はこちら

※この記事の写真は2013年8月25日、OLYMPUS E-620 + ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWDで撮影。

上時国のバス停から看板に従って5分も歩かないうちに目的の上時国家に着いた。しかしなんだか様子がおかしい。なんと茅葺屋根の葺き替えをやっていた。周囲には足場と幕が張り巡らされ、屋敷の外観が見えない。貴重な現場に居合わせたとも言えるが、複雑な心境。

上時国家

時国家は「平家にあらずんば人にあらず」と言った事で知られる武将・平大納言時忠の末裔とされ、この地を支配する豪農として長きにわたり繁栄し、江戸時代には天領・大庄屋として名字帯刀を許されたのだという。現在の屋敷は1831年から28年もかけてに建てられたそうだ。

窓口で500円を支払って内部を見てまわる。しかしすぐに飽きてしまった。午前中に見た「明治の館」の方が部材が立派で、細部にこだわりが感じられた。時国家は武家の出身だからかなんだか無骨な印象で見所がよくわからない。室内にやたらと展示品が並べてあるのも頂けない。「明治の館」にもこうした展示はあったが、もっと整然としていた。時国家はどこか雑然としている。見たかった蜃気楼のデザインの欄間もどうということはなく、総じていまひとつ。パンフレットに「本家」と断ってあるのもなんだか鼻につく。

上時国家
▲襖には家紋の「丸に揚羽蝶」

上時国家
▲大納言の間(御前の間)の天井は漆塗りに金を盛った格子天井。しかし同様の天井の「明治の館」の仏間を見た後だったので感動が無い。ただ、かつて加賀藩主が訪れた際「余は中納言なので大納言の間には入りかねる」と言い、天井に紙を張って格式を下げた上で入ってもらっという逸話は面白かった

上時国家
▲大納言の間から下段の間方向。中央の畳が縦に敷かれているのが特徴

上時国家
▲蜃気楼がデザインされた欄間。右下の大きなハマグリが左上の雲の上の建物(蜃気楼)を映し出している様子。面白いとは思うが精緻とは言い難く、パッとしない感じを受けた

上時国家

上時国家

上時国家
▲葺き替え中のため、見上げるとブルーシートが見えた。これはこれで面白いか

見ている間に団体の観光客がやって来た。能登半島のいわば定番の観光地なのかもしれない。経験上、そういう「定番」は実際行ってみると大したことがなくガッカリということが多いが、ここもその法則に当てはまりそうだ。見所の1つらしい国指定名勝の庭も、池が緑の浮き草で埋め尽くされていた。

小1時間居たがもういいやと外に出る。バスまではまだまだ時間があるので徒歩で下時国家へ向かった。上時国家が「本家」なら下時国家は「分家」なのだろう。のどかな里山の風景の中を10分ほど歩く。こちらは幸い葺き替えはしていなかった。建てられたのがいつかハッキリしないが、築200年ほどであるらしい。能登最古の民家。

下時国家

入館料は600円。こちらは展示室が別にあるため屋敷の室内はスッキリしていて上時国家よりも印象が良い。部材も「明治の館」ほどではないが立派で、案内によれば建設当時は「山から樹を切り出すには藩主の許可が必要だった」そうで、その時代にこれだけの屋敷を造れたのはたしかに凄い。釘隠しの細工も精緻でこだわりも感じられた。ただボタンを押すと流れる音声案内は、気を抜くとどこのことを説明しているのか分からなくなる。

下時国家
▲同じような根曲がりの松の樹が屋根を支える

下時国家
▲屋根がむき出しで骨組みが見える部屋も多い中、囲炉裏の上には板が張ってある。板の上は隠し倉になっていて、年貢の取立てから米を隠したと伝わるが、今もなお入口が分からないという。じゃあ単なる天井だったんじゃ・・・

下時国家
▲釘隠しには精緻な細工。上時国家のは何かの植物の形で、もっと単純なもの

下時国家
▲神棚の下に仏壇。神仏習合の様式

下時国家

下時国家

下時国家
▲敷地内の一角には壇ノ浦で入水した安徳天皇を祀った社。昭和60年に建立されたもので新しい

分家の方が私の目には魅力的に映った。蛇足ながら付け加えると、上時国家、下時国家ともに国の重要文化財に指定されているが、指定年は下時国家が昭和38年、上時国家が平成15年である。建築年代による差だと思いたいところだが、それ以外の要素もありそうだ。それにしても上時国家が指定されるなら、はるかに魅力的な「明治の館」も指定されてしかるべきだと思うのだが?

まだバスまでは少々時間があったので、運賃の節約も狙って曽々木口のバス停まで歩いた。

曽々木口バス停(能登半島バスの旅)
▲曽々木口バス停

待合室があって日差しを避けられるのがありがたい。自販機で飲み物も補充。待つことしばし、白米を目指して15:51発。

曽々木口バス停(能登半島バスの旅)
▲すっかり見慣れた真っ赤なバス

~つづく~

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