今月25日に石川県の白山麓にある一里野高原で開かれた音楽祭でのシンセサイザー音楽家・姫神のコンサートの模様を紹介する。
なお、この旅の模様自体はいずれ旅行記として詳しく紹介したいと思う。

※写真は2012年8月25日に撮影、特記が無い限りNIKON COOLPIX S4で撮影、トリミングなし。

さて、青春18きっぷを使い、金沢駅に降り立ち、13:30発の北鉄航空のツアーバスに乗車。事前に予約していたもので、金沢駅~一里野高原間の往復で1,500円なり。予定では片道2時間もかかるわけだから、これはかなりお得な額といえよう。

▼金沢駅からバスに乗車
一里野高原へのバス

一里野高原へのバス

途中、鶴来駅で停車してそこからの乗客も乗せ、総勢22名の一行は15時過ぎに一里野高原の会場に到着。予定では15:30着となっていたので30分ほどの早着だ。まあ、遅れるのは困るが早く着く分には何の問題もない。ここから帰りのバスが出る19:30まで自由行動。“ツアー”とはいっても実質移動手段以上の意味は無い。

▼一里野高原に到着
白山一里野音楽祭2012
音楽祭の看板。

白山一里野音楽祭2012
ステージは斜面の麓にあった。/OLYMPUS E-620 + ED 14-42mm f3.5-5.6

白山一里野音楽祭2012

「白山一里野音楽祭 ECO STAGE 2012」は16:00~19:00に行われ、地元のアーティストが3組と、ゲストアーティストとして姫神が登場する。姫神の公演は17:30から。それまでは周辺を散策していようかとも思ったが、そんなことをしている内に良い場所が埋まってしまいそうな気もして、斜面の中腹にここぞという場所を見つけて陣取り、音楽祭を最初から聴くことに。まあ、普段聴かないジャンルの音楽を聴くのも偶には良いだろう・・・ぐらいの気持ちだったのだが、この選択は正解だった。

地元のアーティストとして参加したのはSeattle Standard Cafe'(シアトルスタンダードカフェ(シアスタ))今村つばささん、大森洋平さんだったが、それぞれに魅力的なステージだった。シアスタはロックバンドでオリジナル曲・カバー曲(ポルノグラフィティの「ミュージックアワー」も)取り混ぜて音が割れるくらい(笑)熱のこもった演奏だったし、シンガーソングライターの今村つばささんと大森洋平さんは2人とも曲も声も素晴しかった。30分弱ずつのステージだったのだが、それではちょっと聴き足りない感じがした。

とはいえ私のこの日の目的はなんといっても姫神。司会のアナウンサー2人に紹介されて星吉紀さんが登場。他のアーティストの曲を楽しみつつも待ちに待った公演は予定より5分ほど遅れて始まった。

<姫神コンサート@白山一里野音楽祭 ECO STAGE 2012>

01.遠い日・風はあおあお
アルバム「姫神伝説」(1983年)より。星さん登場時に鳴っていたワーンという感じの音が鳴り止むのと同時に、コンサートはこの曲から始まった。名曲・定番曲であると同時に、高原でのライブに相応しい1曲といえよう。

02.未来の瞳
アルバム「千年回廊」(2000年)より。姫神ヴォイス(志和純子さん・西風沢里絵さん)が登場。姫神ヴォイス参加の公演を聴くのは2007年の伊勢神宮外宮での奉納演奏以来で本当に久々だ。シンセ単独の公演も良いが、やはりゲスト、特に姫神ヴォイス参加のものに比べると物足りない感じが無いといえば嘘になる。

03.天の空
アルバム「天∴日高見乃國」(2008年)より。姫神ヴォイスに加え、岩手県宮古市の山口太鼓の会の佐々木達哉さんが参加して演奏。“日高見徴”に近いアレンジだったが、CD収録のものに比べてキーが低い感じがした。

ゲストが退場して最初のMC。岩手県の平泉とも縁の深い(奥州藤原氏は白山を信仰していたという)白山の傍で演奏できてとても感謝している。今日は皆さんと心を1つにして霊峰白山に演奏を奉納したい・・・といったお話だった。
曲紹介の後、再び演奏。

04.白山
アルバム「風土記」(1989年)より。白山の近くでの演奏ということでもしかしたらと思っていたが、「やはり来たか!」という感じ。おそらく白山に関連の無い場所では演奏されないと思われるので、ライブで聴けたのは貴重だった。アレンジはCDとほぼ同じ。ただし拍子木(?)が鈴の音色に変わっていた。
この曲の辺りでステージの背後の山の端に夕陽がかかり、とても美しかった。

05.白鳥伝説
アルバム「北天幻想」(1986年)より。佐々木達哉さんが参加して演奏。前曲もそうだったがライブで聴くのは初めて。そしてこの曲が自分の中ではこのコンサートの前半のハイライトとも言えるもので、祭囃子を思わせるノリの良いアレンジがされていたのだが、佐々木さんのバチ捌きと合わせてとても素晴しかった。

ここで2度目のMC。ゲストの佐々木さんの紹介。震災から1年半が過ぎた宮古市の状況など。そして佐々木さんが1ヶ月ほど前にも白山市を訪れて演奏したといったお話。「こんな素晴しい場所に旅行も兼ねてまた来れて嬉しい」とのこと。
そして佐々木さんがソロで演奏。

06.神太鼓
佐々木さんのソロ演奏。“ジンダイコ”と読む。神社へ奉納する際に演奏する曲らしい。和太鼓の曲についての知識は皆無に等しい私だが、見当ハズレかもしれないが曲の終わりが大きい太鼓ではなく小さい太鼓なのは珍しいんじゃないかと思った。それはともかく、やはり素晴しいバチ捌きだった。

07.森渡り
アルバム「風の縄文」(1996年)より。再び姫神の楽曲。オットフォンバイラさんの唄の部分はシンセサイザー、ホーミーの部分は佐々木さんの太鼓演奏にアレンジされていた。

演奏後に1人の女性が登場。今回が姫神との初の共演となる、沖縄県の石垣島出身の歌手、宮良牧子さんだ。宮良さんが加わってさらに1曲演奏。

08.ニライカナイ
姫神ではなく宮良さんの楽曲。今回のライブに合わせて姫神がアレンジしたらしい。自然の素晴しさを歌ったのびやかな曲だった。

ここでMC。宮良さんの紹介と、“理想郷”を意味する“ニライカナイ”という言葉について。
そして宮良さんがソロで1曲。

09.世願ぇ
「アメイジンググレイス」に沖縄言葉の歌詞を付けた1曲。不思議と西洋のメロディーと沖縄言葉が調和していて驚いた。

再びMC。このコンサートのメインに据えられた1曲について。それは「光り駆ける草原に抱かれて」という曲。白山の自然保護活動をされた鳥畠さんという方が作詞作曲したものなのだが、難病に倒れて現在入院されており、星さんが白山比咩神社の宮司さんを通じて「完成させて欲しい」と依頼されたのだという。

ここで児童作家の大庭桂さんが登場。姫神が近年合唱曲の作詞を依頼している方で、この「光り駆ける~」の補作詞をお願いしたとのこと。「光り駆ける~」の演奏に先立って、大庭さんがこの日のために作った「告白」という詩を朗読した。白山の神の存在を心に留めてこなかったことを私は告白する・・・といった内容の詩。そして朗読後、演奏が始まった。

10.光り駆ける草原に抱かれて
事前に初披露の新曲もあるという告知がされていたが、それがこの曲と思われる。ヴォーカルは宮良さん、そして作曲が星さんで無いということもあって姫神の曲という感じはあまりしなかったが、ゆったりした3拍子の心地よい1曲だった。いずれ姫神ではなく宮良さんのアルバムに収録されるのではと予想。なお、このコンサートはラジオで生中継されており、病床で聴いているであろう鳥畠さんに向けての演奏でもあった。

ここで司会の2人のアナウンサーが登場して、出演者の紹介とインタビュー。ラジオ放送しているということもあってのものだろうが、この時間が無ければ1曲演奏できるのに・・・と思わないでもなかった(笑)。

▼インタビュー中/OLYMPUS E-620 + ED 14-42mm f3.5-5.6
姫神@白山一里野音楽祭2012

「続いての曲の紹介をお願いします」ということで曲紹介。「神々の詩」に拍手が起こる。やはりこの曲の人気は相変わらずなのだなと実感。

11.神々の詩
アルバム「縄文海流-風の縄文III-」(1998年)などより。姫神の代表曲の1つ。姫神ヴォイスと佐々木さんが加わっての演奏。強いて言えばブルガリアンバージョン(アルバム「風の伝説」(2004年))に近いアレンジで、かつ一部のヴォイスがシンセサイザーに置き換えられており、繰り返しがちょっとくどいなと思わないでもない部分(汗)が和らいで聞きやすくなっていた。

12.浄土悠遠
CD未収録曲。当時世界遺産登録を目指していた岩手県・平泉のイメージ音楽として2008年に製作された。演奏を聴くのはこれが3回目だが、ゲストが参加してのものは初めて。特に姫神ヴォイスが参加してシンセ単独の場合と比べアレンジがどう変わるのか注目していたのだが・・・ほとんど変わらず。シンセ単独公演で録音素材を使っていた部分を姫神ヴォイスが歌っていて、ヴォイスパートの増量は無かったようだった。ただ、佐々木さんの太鼓演奏はかっこよかった。この曲に関しては姫神ヴォイスよりもむしろ佐々木さんの参加が大きいように思った。

ここでMC。この日を機会に東北を身近に感じて欲しいということ、そして最後までお付き合い下さいありがとうございましたと感謝の言葉を述べられた。
そして最後の曲の紹介、演奏。

13.雪女
今年5月のいわき市でのコンサートで初演された新曲で、アルバム「姫神伝説」(1983年)収録の同名曲とは全くの別物。もちろんCD未収録。昨年発表された「流氷」に続き、吉紀さんは初代の作品と同じ名前を新曲に付けている。もっとも同じテーマで曲を作ればこういう名詞単独の曲名はどうしてもかぶり易いだろうし、かぶるのを気にして思い通りの名前を付けられないというのもなんだかなあという気がするので、同じ「姫神」とはいえ作曲者が違うのだしアリかなとは思う。それに聴く側としては初代と2代目の感性の違いが垣間見えて興味深い。

で、この曲。素晴しかった!この曲を聴くことができただけでも来たかいがあった。初代の「雪女」が明るくポップな感じで(「遠野物語」の「小正月の夜、又は小正月ならずとも冬の満月の夜は、雪女が出でて遊ぶとも云ふ。」という記述に因ったものだろうか?)一般的な雪女のイメージとはかけ離れているのに対し、2代目の「雪女」はまさに雪女。始まりの鋭い笛の音で“何か”が現れた深山に、しんしんと雪が降るイメージ。と同時に、なぜか私には5月に見た津川の狐の嫁入り行列が思い起こされた。妖しげなおどろおどろしさも漂う秀作だ。ちなみに姫神ヴォイスの録音素材のパートがあったように思うが、星さんのシンセ単独での演奏だった。

これで今日のコンサートは終わり・・・と思いきや「雪女」直後から再び曲が始まり、姫神ヴォイスと佐々木さんも再登場して星さんも一緒に観客に手拍子を要求。ノリのいい曲が始まった。

14.千年の祈り
アルバム「千年回廊」(2000年)より。アレンジはDJ・ミュージシャンのDAISHI DANCEのアルバム「beatlessBEST...Mellow Relaxation.」(2012年)収録の「千年の祈り(DD 2012 Re_Make)/姫神×DAISHI DANCE」に近い、ダンスミュージック風のもので、とても盛り上がった・・・とはいえ、荘厳な感じのするいつものバージョンも聴いてみたかったなあと思わないでもなかった(汗)。

これでコンサートは終了。司会のアナウンサーが出てきてしめの挨拶を・・・と思いきや、ラジオ放送は終わったのだが、会場に来ている人のためにもう1曲演奏してくださるという!星さん曰く「このまま終わったのでは興奮冷めやらぬという感じになってしまうので、優しい曲を」ということで、

15.あの空の下に
アルバム「千年回廊」(2000年)より。アナウンサー氏が「スペシャルソング」といったので姫神ヴォイス参加の曲かと思ったが、星さん単独でのインスト曲だった。ホッと一息つくような感じのラストナンバーだ。

これで本当にコンサートは終了。会場後方でCDの販売とサイン会が行われたが、ほとんどCDは持っているし、予定より10分ほど押しての終了でバスの時間まであまり無かったこともあり、早々に車内へと戻った。

▼終演/OLYMPUS E-620 + ED 14-42mm f3.5-5.6
白山一里野音楽祭2012

正直、1時間半という時間でしかもゲスト紹介のコーナーが少々長かった(汗)こともあり、もう少し姫神の曲を聴きたかったという気もするが、これまでライブ演奏を聴いた事が無い曲や新曲も聴けて満足のひとときだった。特に「雪女」。CD化が待ち遠しいし、「白鳥伝説」共々またぜひライブで聴きたい。

ちなみに今回の会場の環境だが、高原の気持ちのいい雰囲気・・・という面では申し分なかったものの、腰を下ろした観客の間を退屈した小さい子供が駆け回るという状態(苦笑)。私が陣取った場所もステージから少し離れた斜面の中腹ということでまずかったのだろうが、トイレに向かう(?)大人も含めてかなり鬱陶しかった。もっとステージに近い場所に座れば視界に入らなかっただろう。次に同じような機会があればそうしよう。
そして、なんと犬を連れてきている観客も何組かいて、宮良さんが歌っている最中にボーダーコリーが吼えていた。子供はある程度仕方ないにしろ(親が何とかしろよとは思うが)、さすがに犬は入場禁止にすべきでは?というか連れてこないのが常識だろうと思うのだが・・・。

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