先日書いた「古典部シリーズ」の記事で触れた「米澤穂信と古典部」を読んだ。



新作の短編が収録されており、それがメインの目的。主人公、折木奉太郎が中学時代に書いた読書感想文がテーマ。「走れメロス」を題材にした感想文についてはすでに過去作で語られていたが、今回はそれ以外の2作について、古典部のメンバーたちによって吟味される、短編としても短いお話。芥川龍之介の「猿蟹合戦」(そんな作品があるとは知らなかった)の読書感想文に込められたある秘密とは。奉太郎らしくないオチに古典部メンバー(奉太郎除く)は大いに盛り上がるのだった。それにしても本当に奉太郎らしくない。どういう心境でこんな秘密を仕込んだのか。いわゆる中二病ってやつか?

さて、他にも作者の対談など盛りだくさんの内容で、古典部シリーズの次作は夏休み、次々作は修学旅行を題材にしたものとのこと。えるがああいう状況になった後に迎える夏休み。どんな物語が紡がれるのか非常に楽しみ。





昨日に続き本のレビュー。本日はライトノベル「異世界食堂」シリーズ。現在4巻まで刊行されている。



昨日紹介した『古典部シリーズ』と同じく、ニコ生でアニメを見て原作を読んでみたくなった作品。

とある町の洋食店“ねこや”の扉は、土曜日だけ異世界へと繋がり、そこに住まう様々な客を迎え入れる。人間はもちろん、エルフやリザードマンなど人でないものの姿も。中には神と崇められる存在まで訪れ、異世界には無い料理の数々に舌鼓を打つ。客それぞれが持つドラマが面白いのはもちろんだが、なんといっても料理の描写が素晴らしい。読んでいるとお腹がすいてくる小説は初めてだ。また、普段の食事を食べる時も、より味に意識を集中して(心の中で寸評しながら(笑))食べるようになった気がする。

アニメでは描かれていなかった異世界食堂の扉の仕組みや、その始まりについても触れられているのは原作小説の魅力でもあり、思いのほか世界観に深みがあることに驚いた。1巻当たり20話以上収録されているのもお得感があって良い。これまた続きが楽しみなシリーズ。最近当たりの小説に出会えていなかっただけに、こうして相次いで遭遇できているのは嬉しい。



久々に本の感想。今回は「氷菓」から始まり、最新刊「いまさら翼といわれても」に続くミステリー作品『古典部シリーズ』。



ニコニコ生放送で見たアニメが面白かったので、原作に興味を持って最近読み始めた。ミステリーというと殺人など血なまぐさい事件がつきものだが、このシリーズは(作中作として殺人を題材にしたものは登場するが)そんなものとは無縁。高校の活動内容不明の部活「古典部」の部員が出くわすちょっとした謎を、主人公である折木奉太郎が中心となって解決していくのだが、その解決への道筋がとても気持良い。また、「やらなくてもいいことはやらない。やらなければいけないことは手短に」という奉太郎のモットーはとても共感が持てるし(笑)、ヒロインの千反田えるも含めキャラクターが非常に魅力的だ。

第1作「氷菓」は、小さな謎の解決を積み重ねながら、えるの叔父が言った言葉、文化祭の別名「カンヤ祭」の由来、そして古典部の文集のタイトル「氷菓」の謎に迫っていく作品。最後の謎については分かってみれば・・・というようなものだが、込められた思いがとてつもなく重い。

第2作「愚者のエンドロール」は脚本家が途中で投げ出してしまったミステリー映画の事件の解決に古典部が挑む。意外な犯人の存在によって見事解決したかに見えたのだが・・・。

第3作「クドリャフカの順番」の題材は文化祭で発生した連続盗難事件。わらしべ長者的な展開が面白い。

第4作「遠まわりする雛」と、最新刊である「いまさら翼といわれても」は短編集。いずれもえるに焦点を当てた表題作がとても印象的。奉太郎とえるの関係は今後どうなっていくのだろう。

第5作「ふたりの距離の概算」は、マラソン大会の進行とともに、新入生が古典部入部を辞退した理由が明らかになっていく面白い構成。

まだ完結しておらず、続きがとても待ち遠しい。まだ読んでいないが、昨年10月に刊行された「米澤穂信と古典部」という本に新作短編が載っているらしいので、早く読みたい。