図書館でふと目にとまって読んでみたら面白かった本の紹介。梅谷献二著「虫の民俗誌」。



30年以上前に出版された、昆虫やクモについてのエッセイ集。生態学的なことのほか、人とのかかわりといった文化的なことも語られている。人家の屋根に大量発生し、屋内に落ちてきて住人が刺される毛虫など、今の時代ではほとんど聞かれることのない虫の害の話や、家の構造の変化により屋内害虫の顔ぶれが変化していることなど、とても興味深かった。また、現在ペットのエサ用等で販売されているミールワームはすべて誰かの密輸由来のものというのは全く考えたことがなかったので驚きだった(貯穀害虫であり、輸入は植物防疫法に抵触する)。

さて、作中に日本博物温古会の「蟲塚(※土へん無し)」という同好会誌が登場するが、どこかの古本市でこのタイトルが目にとまってページをめくってみたことがあるような。わずか2巻の刊行で終わり、残部も誤って処分されてしまったために幻の本らしい。中身も面白そうだし、今度遭遇したら手に入れねばと思う(ネット検索してみると古書店で1冊2000円程で出回っているようだが)。



宮部みゆきさんの小説「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」を読了。



三島屋の黒白の間に招かれた人々が語る、不思議な話の数々。シリーズ5巻目の本作だが、舞台設定は覚えていたものの、過去4巻の内容をほぼ忘れていて我ながら驚いた。3巻目までは感想を当ブログに記事として書いており復習できたが、4巻目については記事にしておらず、もしかすると読んでいない可能性まである(汗)。ということで、登場人物の関係性に少しついていけないところはあったが、それはそれ。時代小説とファンタジーが融合されたような物語は独特で、宮部先生の流石の文章力と相まってページをめくる手が止まらなかった。特に2話目の「だんまり姫」が好み。一国様には幸せになってほしいものだ。そして1話目のどんぶり屋の平吉のキャラが魅力的。また、どんぶり屋も含め話の端々に登場する料理の描写が巧みでとてもおいしそうで空腹を覚えてくる。そういう点では、全く違うテイストの作品ながら異世界食堂の料理描写が思い起こされた。

さて、最終話の「金目の猫」で登場人物の立ち位置と黒白の間に大きな変化が生じた。「シリーズ第一期完結篇」ということは第二期に続いていくのだろうが、どう展開するのか非常に楽しみ。



先日書いた「古典部シリーズ」の記事で触れた「米澤穂信と古典部」を読んだ。



新作の短編が収録されており、それがメインの目的。主人公、折木奉太郎が中学時代に書いた読書感想文がテーマ。「走れメロス」を題材にした感想文についてはすでに過去作で語られていたが、今回はそれ以外の2作について、古典部のメンバーたちによって吟味される、短編としても短いお話。芥川龍之介の「猿蟹合戦」(そんな作品があるとは知らなかった)の読書感想文に込められたある秘密とは。奉太郎らしくないオチに古典部メンバー(奉太郎除く)は大いに盛り上がるのだった。それにしても本当に奉太郎らしくない。どういう心境でこんな秘密を仕込んだのか。いわゆる中二病ってやつか?

さて、他にも作者の対談など盛りだくさんの内容で、古典部シリーズの次作は夏休み、次々作は修学旅行を題材にしたものとのこと。えるがああいう状況になった後に迎える夏休み。どんな物語が紡がれるのか非常に楽しみ。