今月22日に三重県の四日市市立博物館プラネタリウムで開催された姫神コンサートへ行ってきた。2017年7月の福井県勝山市以来2年半ぶりに聴く姫神コンサート。楽しみにしていただけに、折悪しく国内での感染者が増えつつある新型コロナウイルスの影響を心配した。しかし、基本的には普段のプラネタリウムの営業形態と変わらないうえ、全140席という規模や、観客の多くが(感染者が確認されていない)地元・四日市の方であるという点で感染拡大のリスクが少ないと判断されたのだろう、無事開催(マスク着用や手洗いの徹底は呼びかけられていた)。もっとも、この翌週から世間が一気に自粛へ傾いたので、1週ずれていたら中止になっていたかもしれない。

さて、今回のコンサート。実は事前に姫神の星さんから密命(?)を受けており、楽しみ半分、緊張半分のいつもとは違った心もちで会場へ向かった。開場は18時15分だったが、その1時間ほど前に着いて受付で腕章を受け取り、職員さんに案内されて開場前のプラネタリウムの中へ。曲に合わせた星空や映像のリハーサルが行われていている中、舞台に向かって最後列右端の座席脇に三脚とカメラを設置。そう、コンサートの撮影を依頼されていたのだった。

三脚を使った撮影というのは初めて(汗)、という素人もいいところな私。なのに大役を仰せつかってしまってどうしましょう、という状況である。とにもかくにもカメラのセッティングを調整したり、もう1人撮影で入っておられた間違いなく私より上手いであろう方とお話したり(汗)、シンセの音出しの後で客席の方へ来て下さったと星さんに挨拶したりするうちに早くも開場時刻。みるみる客席が埋まって(やはりマスクをつけた方が目立った。私も着用。)、18時30分、コンサート開演。

※この記事の写真については、姫神・星吉紀様と四日市市立博物館プラネタリウム様より撮影・掲載の許可を頂いております。

【プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」】
2020年2月22日 18時30分開演
三重県四日市市・四日市市立博物館・プラネタリウム

01.風の祈り ・・・ アルバム『炎 -HOMURA-』(1993年)より
02.遠い日・風はあおあお ・・・ アルバム『姫神伝説』(1983年)より
03.空の遠くの白い火 ・・・ アルバム『姫神』(1982年)より
04.月のほのほ ・・・ アルバム『姫神』(1982年)より
05.浄土悠遠 ・・・ アルバム未収録曲(2008年)

~ 講演 ~

~ 星空解説 ~

06.星が降る ・・・ アルバム『まほろば』(1984年)より
07.雲わたる月 ・・・ 『~花鳥風月~ 星ごよみ サウンドトラック』(2013年)より
08.雪の女神 ・・・ 『天空への旅~Himekami TV Omnibus~』(2013年)より
09.天の川 ・・・ 『~花鳥風月~ 星ごよみ サウンドトラック』(2013年)より
10.花鳥風月 ・・・ 『~花鳥風月~ 星ごよみ サウンドトラック』(2013年)より
アンコール曲
11.あの空の下に ・・・ アルバム『千年回廊』(2000年)より

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館
青い光の中で、「風の祈り」から演奏スタート。

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館
「遠い日・風はあおあお」は茶畑(?)と、この牧場の風景の中で。この後、映像がグッとズームしていくのだが、牛の1頭が星さんをガン見した挙句、のしのしと星さんの方へ歩いて行ったのが可笑しかった。星さんがMCで曰く「食べられちゃうかと思いました」(笑)。

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館
「空の遠くの白い火」は菜の花畑が広がる里山の風景の中で。陽がだんだんと沈んでいき、そして夕暮れに。

続く「月のほのほ」は同じ里山の夜の風景。「浄土悠遠」は全天に星空が映し出された中での演奏だったが、今回、施設側から譜面灯を消してほしいと言われたそう(ドームに灯りが反射してしまうため)で、星空投影時は胸元にペンダントのように下げた小さな灯り1つ(星さん曰く「一番星」(笑))での演奏。鍵盤が見えず、大変苦労されたらしい。

ここまでで第1部が終了。

第2部では姫神の歴史やプラネタリウム番組の音楽製作についてスライドを交えての星さんの講演。小規模コンサートでは恒例となっている「(星さんが)実はシンセを弾いてないと思う人」にシンセを触ってもらうコーナーもあって、今回は男の子が登壇。自身で鍵盤を押して音を出した後も「弾いてないと思う!」とのこと(笑)。
最後にプラネタリウム番組『オーロラの調べ』の一部が上映。太陽風がオーロラを作り出す仕組みのところからブレイクアップの辺りだったが、思わぬ上映で得した気分。

第3部は星空解説。冒頭で四日市の名物の1つでもある美しい工場の夜景が投影されたのがここならでは。星座の解説では超新星爆発を起こすかもと話題のベテルギウスを含むオリオン座などが紹介されたが、客席にやたら星に詳しい女の子がいて、解説員の方が星の名前を言う前に言ってしまうということが続いて面白かった。将来有望といえよう。しかし、解説員的にはこういう状況は困ったものなのか、それとも美味しい状況なのだろうか。ちょっと気になる。

そして第4部。再び星さんが登場して演奏。

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館
「星が降る」は満天の星空と流星の下で。なんとか流星が写っていた(汗)。なお、この曲は星さんがパーソナリティを務めるラジオ番組の企画で、リスナーから募集した過去の曲をリメイクするというコーナーがあり、そこで現代版の音で甦った。そして何を隠そうその企画で「星が降る」をリクエストしたリスナーは私である(笑)。そういう事もあって思い入れのある曲だった。また、星さんが再三ラジオで「プラネタリウムに合いそう」と言っておられたので、今回演奏されるのではと密かに期待していたら、本当に実現。非常に嬉しい。この曲に関しては数枚撮影しただけで、あとは撮影を忘れて星空を見上げ、ジックリと聴いた。アルバムバージョンと比較し、全体的に音がくっきりした感じ。鈴の音が入っていることや、後半の盛り上がりもとても好み。曲の終わりがフェードアウトしないのも聴きどころ。星さん曰く「姫神の歴史の中でこの曲がコンサートで披露されるのは初めてかも」とのこと。

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館
「雲わたる月」は大きな月の下で。今回のコンサートの時間枠は元々プラネタリウム番組「花鳥風月 ~星ごよみ~」が上映されている枠で、この曲も含め番組の使用曲が3曲演奏された。

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館
「雪の女神」のしんしんと降る雪の演出が、シンプルながらも今回一番心に響いた。もっと長く見ていたかったが、たしか10秒ほどで終わって、雪景色と冬の星座が映し出された。

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館
これはこれで美しいし、プラネタリウムの特性を活かすならこちらだろうとは思う。余談ながら、星座の絵の線が肉眼だと白いのに撮影すると真っ青になってしまうという謎の現象が起こったので、現像の際に色調を補正して線を白くしている。

この後、「天の川」が天の川銀河や赤い線で表された星座の下で演奏され、続く楽曲は「花鳥風月」。

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館
手前から奥へと自転しながら進んでゆく地球。この他、回転しながら迫るプレヤデス星団(?)などの映像が展開された。

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館

ここでプログラム上の曲目は終了。しかしお約束のアンコール。

プラネタリウムコンサート「姫神 HIMEKAMI」@三重県・四日市市立博物館
赤い照明の中で「あの空の下に」。近年のコンサートの締めといえばこの曲。

写真の出来はともかく(汗)、とりあえず肩の荷を下ろせてホッと一息の終演後、舞台上で実施されたグッズ購入者対象のサイン会には長蛇の列ができた。急いで撤収し、私も並んでDVD「スターリーテイルズ」にサインを頂く。


最後に、コンサートの撮影という貴重な機会を頂き、姫神・星吉紀様、並びに四日市市立博物館プラネタリウムの方々に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

毎週木曜日19:30~岩手県一関市のコミュニティFMである“FMあすも”で放送中のラジオ番組「姫神・星吉紀の北天幻想」。その番組内のコーナーで、姫神のアウトテイク(製作したものの世に出なかった作品)の曲名と、楽曲に合う写真を募集する企画があり、そのまとめとして本日、楽曲「耀きの中で(カガヤキノナカデ)」の動画がYouTubeで限定公開(=検索結果等に出ない公開方法)された。


耀きの中で(YouTube)

そしてこの動画に私が撮影したカタクリの芽の写真が採用されている。写真を趣味にしていて本当に良かった。まさかこういう日が来るとは。

▼福井県にて/2018-3-31/OLYMPUS OM-D E-M1 MarkII + MMF-3 + ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm(アートフィルター“ポップアート”)
カタクリの芽

なんでマクロレンズを使わなかった?と自分にツッコミを入れたいところだが、ギフチョウとカタクリの花目当てで行った山中で雪を目にして唖然としつつも、凹まずに足元の光景にカメラを向けた自分は褒めたい(笑)。

それにしても応募するにあたっての写真選びが思いのほか難しかった。最初は「耀きの中で」をテーマに新たな写真を撮ろうとし、実際撮りはしたのだがどうも曲のイメージに合わない。曲冒頭の波の音の影響が大きく水のイメージからなかなか離れられずに視野が狭くなっていた感がある。結局、過去に撮影した写真を漁ることにして、そんな中でふと思い出したのがこの雪の中から顔を出したカタクリの芽だった。

さて、今日の放送でアウトテイク第2弾の企画が始まった。プラネタリウム番組「花鳥風月 星ごよみ」で使用された「真珠星」の影で涙をのんだ(?)未発表曲。かなり好みのアンビエントっぽい曲だった。曲名募集にはぜひ応募したいが、写真はかなり難しそう。はたして応募できるのか?

前回はこちら。

3月に入手した朗読カセット『宮沢賢治童話集』について。今回はその内「グスコーブドリの伝記」と「銀河鉄道の夜」の朗読と姫神による音楽について。今回が最終回。

「グスコーブドリの伝記」(10巻A面27:42、B面22:23、11巻A面36:10、B面24:06)
グスコーブドリの伝記~宮沢賢治童話集

10巻A面~11巻B面に収録。原作は未読だったが、宮沢賢治作品にはこんなに重苦しい物語もあるのかと驚き。特に前半は子供受けはしなさそう。一方で後半は今の時代に聴いても未来感があって面白いが、結末は・・・。朗読は角野卓造さん。某「渡る世間~」(あるいは某芸人さんのモノマネ)のイメージが強い方だが、重みのある声が伝記という体際の物語によく合っている。キャラによってあまり声音を変えたりはしていないが、語調や緩急など巧みな演じ分けが見事。

音楽はアルバム『イーハトーヴォ日高見』収録「沼ばたけのオリザ」。アルバムより少しテンポが速くキーも高い(テープの回転数のせいかとも思ったが、朗読の声音の感じだとそういうわけでもなさそう)アレンジや、シンフォニックで軽いリズムパートがあるアレンジも。他に未収録曲が4つ。1つ目はハンドベル系の音色で主旋律が奏でられる曲で、星空や澄み渡った空気感が思い起こされるなかなかの良曲だが、残念ながら流れる場面と曲があまり合っていない。特にキーが低いアレンジのものが噴火の場面で使われているのはどうなんだろう。全体的に清々しさからは遠く暗い「グスコーブドリの伝記」よりも、「ポラーノの広場」のような物語によく合いそうな曲だ。2つ目は主旋律が笛の音、バックトラックが低いハンドベル系の音で奏でられるアンビエント調の曲。こちらは少し暗い雰囲気で、天蚕を育てる場面で流れるが、やはりいまひとつ場面と合っていない。昆虫が好きな私だから思うのかもしれないが、むしろ1つ目の主旋律がハンドベルの明るい曲の方が合うような。3つ目は「ポラーノの広場」で流れたアルバム『姫神風土記』の「空と雲と友と」をシンフォニックにしたような未収録曲とよく似ているが、こちらは場面によく合った使い方をされている。4つ目はアルバム『イーハトーヴォ日高見』収録「青いくるみ」をシンフォニックにしたような穏やかな雰囲気の曲で、なぜか噴火直前の地震や噴火の緊迫した場面で使われている。例外はあるが全体的にBGMと場面がかみ合っていない印象。

「銀河鉄道の夜」(12巻A面29:36、B面31:47、13巻A面26:44、B面19:29、14巻A面29:25、B面26:23)
銀河鉄道の夜~宮沢賢治童話集

12巻A面~14巻B面に収録。朗読は女優の木内みどりさんだが、朗読というよりは音読に近く、セリフと地の文の差がほぼ無い上に抑揚も乏しい。会話のところなど今誰がしゃべっているのか途中でわからなくなる。滑舌も所々あやしい。この平板な朗読を長時間聴くのはかなりの苦行で、記事を書くにあたってもう一度聞き直したが辛かった。木内さんに何か朗読におけるポリシーがあるのか、依頼サイドが何か間違えたのかわからないが、言わずと知れた宮沢賢治の代表作でありおそらくこの朗読集のメインディッシュでもあろう大トリの朗読がこれというのは、期待していたこともあって非常に残念に思った。

音楽はアルバム『イーハトーヴォ日高見』収録「鋼青の空の野原」「ケンタウル祭」「本当のさいわい」(ひと続きの3部構成の1曲として収録)で、アルバムと同様のアレンジの他、「本当のさいわい」はキーが高くテンポが遅いアレンジやクリスタル系の音色による白玉系の変奏曲(あるいはメロディーが似た未収録曲か)も流れる。終盤ジョバンニが目を覚ます直前にはかなり激しいアレンジも。他にパイプオルガンの音色で奏でられ、バックにアルバムでも聞こえるキラキラしたSEが入る白玉系の静かな雰囲気の未収録曲。また、クリスタル系の低い音で演奏され、飛び跳ねるような、雫が零れ落ちて行くようなパンフルート系の音のバックトラックが特徴的なアンビエント調の未収録曲も使用されている。



最後の「銀河鉄道の夜」を除き(汗)、非常にクオリティの高い朗読の数々で、特に「なめとこ山の熊」と「ポラーノの広場」が素晴らしかった。姫神の楽曲も、アルバムの別アレンジや未収録曲を数多く聴けて満足。音楽的には特に「セロ弾きのゴーシュ」が収穫だった。この朗読集、CD化等されず、なかなか聞けない代物となってしまったのが惜しまれる。