一昨日リリースされた歌手AIのアルバム『和と洋』に、姫神がコラボ曲「Wonderful World feat. 姫神」で参加している。

和と洋

公式サイト等で試聴可能。

R&Bと姫神の曲調がマッチするものなのか、聴く前は少し懐疑的だった。しかし、AIさんの力強い歌声の背景に流れる、キーの高い「神々の詩」。これが思いのほかマッチしている。中間部分の歌と笛っぽい音の短いフレーズの掛け合いのような箇所も楽しい。姫神の星さんが最初「同じ和でも違うもの」と言ったらしい「よおーっ」という歌舞伎の掛け声もあまり違和感のない使われ方をしている。双方の音楽性が壊れたり、どちらかに変に偏ることもなく、(少なくとも姫神ファンの私としては)良いコラボレーションだと感じた。そして、曲調は違うが、元ちとせさんが歌う奄美島唄「糸繰節」が織り込まれたDEEP FORESTの「Will You Be Ready (feat. Angela McCluskey & Chitose Hajime)」が思い起こされた。どちらも“和と洋”のクロスカルチャーな名曲だ。

     

気になっていたCDを入手。

懐かしのNHKテーマミュージック集

『懐かしのNHKテーマミュージック集』というもの(※同名の別物があるので注意)で、「ぐるっと海道3万キロ」のテーマ曲である姫神の「海道を行く」のTVバージョンが収録されているのではないか・・・との情報がHIMEKAMI Stationにあった。これはぜひ確かめてみねば。しかし、これがなかなかに入手が難しい。廃盤な上に、発売時もNHK(ネットと放送局?)でしか販売されなかったようで、天下のAmazonにも中古すら無い。私はネットオークションで購入。

懐かしのNHKテーマミュージック集

懐かしのNHKテーマミュージック集

45曲目に「ぐるっと海道3万キロ」がある。ブックレット(といっても見開きに曲目等が書いてあるだけ)には姫神の名は無いが「作曲:星 吉昭」の表記。期待が高まるが、上部に「ナレーション:黒田あゆみアナウンサー」とあって「ん?」と思う。サウンドトラック的なCDとばかり思っていたのだが。そして「放送オリジナル音源以外も収録しています」の文字。不穏だ。まあ、とりあえず「ぐるっと海道3万キロ」を聴いてみる。おお、これはまぎれもなくTVオープニングバージョン。NHKアーカイブスの番組ダイジェスト映像内で聴くことはできるが、やはりCDは良い。バックトラックの響きが良く、気付かなかった音も聞こえるし、これは貴重だぞ・・・と思う間もなく、曲終了数秒後に次の「ラジオ深夜便」の紹介アナウンス。これらで1つのトラックをなしていた(「ぐるっと海道3万キロ」の紹介アナウンスは前のトラック「小さな旅」の終わりに収録)。よってCDでリピート再生するには向かない。少し拍子抜け。なお、曲本体の長さは53秒、ナレーションを含めたトラックの長さは1分11秒。

気を取り直して1トラック目から通して聴いてみる。と、これが大変面白い。CD全体でNHKの番組史を時事を織り交ぜつつ、テーマ曲や番組の一部の音声と共に紹介する1つの番組といって良い構成になっており、聴きごたえ十分。「歴史秘話ヒストリア」の先代アナウンサーによるナレーションも心地よい。欲を言えばナレーション部分は別トラックにしてほしかったが、曲単独で聴くことを想定して作ってないか、あるいは著作権的な問題があったのだろう(なお「小さな旅」「日本百名山」は曲にその番組の紹介がかぶってしまっている)。ちなみに私は「ぐるっと海道3万キロ」のトラックをパソコンにWAVファイルとして取り込んで、編集ソフトでナレーション部分をカット。これで曲単独で聴くことができる。

来年の白山開山1300年を記念し、石川県の白山比咩神社の依頼により姫神がテーマ曲「組曲白山」を製作(ニュース記事)。全4曲からなり、その内「白嶺天照(はくれいてんしょう)」「御阿礼(みあれ)」「神厳の杜(しんげんのもり)」の3曲がYouTubeで公開されている。

▼白嶺天照

組曲のメイン曲。主旋律を尺八とバイオリンが奏でる。白山を照らす陽光や月光のイメージで作られたらしい。非常にシンプルなメロディーラインで、勇壮な雰囲気が醸されている。間奏がとても印象的で、音色が琴系のシンセ主体にガラッと変化。そして音色といい響きといい先代の「月のほのほ」が連想されるのだが、月光のイメージということで狙って組み込んだのだろうか。間奏の盛り上がりを経て再びの主旋律。終盤、尺八とバイオリンの向こうで奏でられているシンセのコブシがまわりまくっていてカッコイイ。なお、織り込まれた鈴の音は、白山比咩神社で巫女さんが使っているものらしい。

▼御阿礼

おそらくは組曲の幕開けを飾る曲で、姫神流の雅楽といった趣き。笙(しょう)のような音色を背景に、雅楽であれば篳篥(ひちりき)が奏でるであろう旋律を、暖かな笛の音のシンセが紡ぐ。そして琴系の音色の伴奏と共に主旋律を奏でるバイオリン。ストリングスの作編曲を得意とする二代姫神の特徴も現れた、完成度が高い曲だと思う。先日発売の『富士の星暦 サウンドトラック』の「凛星」と同じくらい今私の部屋でリピート再生されることが多い曲。

▼神厳の杜

もしかするとこちらが序曲かも。雪解け水(?)の流れる音や滴る音で始まり、琴系の音色と乾いた太鼓の音と共に、オーボエを少し篳篥に寄せたような音色で長い単音が奏でられ、それを追いかけるように暖かな笛の音色が同じ音階を奏でるということが繰り返され、そして水の音で終わっていく・・・というアンビエント。単調だが味わい深く、鎮守の森の静謐さをよく表していると思う。

ニュース記事によれば組曲の残る1曲は「白山讃歌(はくさんさんか)」で、どうやら大庭桂さん作詞の合唱曲(?)らしい。



※29日「神厳の杜」追記・修正。